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2005.03.27

4P+2P

マーケティングの基本中の基本、4P。しかし、昨今それだけでは顧客の心はつかめません。
コラムの第一パラグラフにある「モーニングセットの悲劇」は、さらにもう一つの”P”である”プロセス”が整備されていないばかりに起きる珍奇な朝の喫茶店の光景をマーケティング的解釈で描いたもの。
同じような体験をされた方も多いのか、好評です。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/crm2.cfm?i=20051214crm29e8 


-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

「CRM実行のための"4P"+"2P"」


 モーニングセットの悲劇

 朝、目的地に早く着きすぎて喫茶店に入った。その店にはトーストのAセット、サンドイッチのBセットいうように、AからEまで5種類の朝食セットがあった。筆者は早速サンドイッチのセットを注文する。しかし、しばらくして出てきたのはホットサンドだった。詫びる店員に、「まあいいです」と言って食したが、店内を見ていると筆者を含め30分の間に3件の受注ミスが発生していた。結局はよくあるBとDとEの聞き違いなのだが、問題点は少し複合的だ。

 写真付きのメニューを見て「Bセット」を注文する客に対し、「Dセットですね」と店員が復唱する。客は写真を見たまま、「B」と復唱されたと疑わない。まず、第一になぜAからEまでの記号をメニューの名前にして客に注文させるのか。「サンドイッチセット」いう名前にし、そのまま言わせれば間違いもない。もしくは復唱する時に「Bのサンドイッチセットですね」と言うか、もしくは「こちらのBセットですね」とメニューの写真を指し示すかしなければ、復唱の意味がない。

 となると、問題は2つに集約される。第1に商品のネーミング。第2にミスの発生しない復唱の仕方をマニュアル化し、店員に教育していない点だ。さらにこの2つの問題は一つの根本原因にたどり着く。それは、正しい業務プロセスの設計がなされていないことである。商品は、注文を取るという顧客との接点における業務プロセスにおいて、ミスを誘発するようなネーミングであってはならない。また、本来ミスを防ぐためのプロセスである復唱が、形骸化したオウム返しになっているのでは、本来必要なミスを防ぐというプロセスが抜け落ちた状態になってしまっているのだ。

 4Pとあと2つのP=Process & Person

 実は、その店の朝食セットは非常に美味であった。また、価格は昨今のデフレを反映してか、非常に安かった。また店舗自体が表通りに面していて、さらに店頭に目をひく朝食セットのポスターがあり、思わず店に入ってしまうようになっている。つまり、良い商品を適切な価格で良好な場所で気の利いた販促まで実施して販売しているのだ。商売としてはきわめて優秀な状態だといえよう。マーケティングでいうところの、4P(Products Price Place Promotion)を全てカバーしていることになるからだ。

 この店のように4Pが最適化されていれば、新規顧客を獲得するとは可能だ。しかし、4Pが最適化されていても、もう一つの重要なP=Processが整備されていなければ、一旦は顧客となっても良好な経験(Experience)が得られずに離反する。事実、筆者はもうあの店に行こうとは思わない。間違ったメニューを持ってきた店員との、何とも気まずいやり取りを思い出してしまうからだ。顧客を長期的に囲い込み、顧客価値を高めていこうとするならば、従来の4Pにさらに1つ加えた5つ目のPが欠かせないのだ。

 CRMを展開するときには、どのような顧客に、いつ、どのようなアプローチを行うか。また、どのような顧客がコンタクトをしてきたら、どのような対応を行うかということをプログラム化するだろう。それがまさしく"プロセス設計"だ。

 では、最適なプロセスを設計したらそれを実行するのは誰であろうか。人=Personである。いくら最適なプロセスが作れても、それが実行できなければ、絵に描いた餅だ。5つ目のP、つまりプロセスは、6つ目のPである個々の担当者(Person)が顧客接点で確実に実行することで完結する。

 乱暴な言い方をすれば、マーケティングの基礎理論である4Pは、モノに重点を置き過ぎているといえよう。それは、商品を中心として、価格、販路、販促を最適化しようとする考え方だ。CRMは顧客側からの視点を重要視する。そして顧客接点でのコミュニケーションを最適化しようと考える。とすると、モノをどのような人が、どのような手順で売るのかという、あと2つのPが必然的に必要になってくるのである。特に昨今顧客はモノと共に与えられる経験(Experience)までを商品の価値と捉え、商品やブランド選択を行うようになってきた。とすれば、従来の4Pは6Pを基本として考えられるべき時代になっていると、認識を改める必要があるのだろう。

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Comments

 6Pですかぁ?確かにそうですね。
 
 ちょっと違いますが、似たような話に企業戦略の3C(顧客;Customer,消費;Consumer,競争相手;Competitor)には一つ欠けているものがあって、会社および従業員;Companyが抜けているって話に似ていますね。21世紀に入って、日本においても、この最後のCが抜けている気がしています。耳にした当初は、何を「ぬるま湯」の話をしているんだろう。労組の力が強過ぎて倒産した会社が多く存在するのに。と、そう感じていました。でも、今や、正規雇用が少なくなり、特許等の公開された知財ではなく、あくまで、ノウハウとして外部に機密情報を漏らさない工夫をしていた状況は一変しました。案外、知財やノウハウで重要なものは、単純明快で誰でも理解できるような、ちょっとしたコツである場合が多く、一度知れたら同じ業界を経験した者であれば十分に活かせるものが多いと経験的に感じているからです。

 そういう意味では、某世界的自動車メーカーのディラーの販売工作には閉口します。数年前に横行していました。結局は外国人の仕業として処理しているようですが、あれでは、今まで信頼し愛着を感じていた顧客の再販率が下がります。

Posted by: たぁ坊 | 2007.10.10 02:07 PM

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