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8 posts from March 2005

2005.03.27

コンタクトセンター改革

プロフィールにあるように、筆者はコンタクトセンターの出身です。
しかし、ここ15年ぐらいの顧客とのコンタクト手段はインターネットの登場ですさまじい変化を見せています。
その中で、「限られた予算の中で効率と応対クオリティーの向上、さらにはセンターとしての付加価値を」と皆さん必死でがんばっていらっしゃいます。
そのがんばりにエールを送るつもりで書いたのがこのコラムです。

 http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/media/index.cfm?i=e_idnl056


-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

「コンタクトセンターのグッドスパイラルを完成させよう!」


 最近、当社のWEBサイトからのお問い合わせ・お引き合いの中で「テレマーケティング関連」が増えている。そこで今回は、そのジャンルに関連したTipsをお届けしたい。
■テレマーケティングの本来の意味と今日的な姿

 テレマーケティングというとやはり、電話でのコミュニケーションが想起されるが、それを実施する「コールセンター」は、今日では「コンタクトセンター」と呼ばれることの方が多くなっている。コールという電話だけのコミュニケーションに限らず、WEBサイトからの問い合わせ、Eメールでのやりとりまでも取り込み多様化しているからだ。

 「テレマーケティング」という言葉の本来の意味は「Telephone Marketing」ではなく、電話以外も含めた「Tele-communication全般を活用したマーケティング手法」を表していた。もっとも、その概念が生まれた当時の「電話以外」といえば、FAXぐらいしかなかったのだが、テクノロジーの進化がその概念をより本来の意味に近づけたのだ。

■何とかしたい!Eメールオペレーションの効率

 しかし!顧客からのコンタクトチャネルが多様化したことにより、現場はそんな「本来の概念が云々・・・・・・」などといっていられないくらい大変なことになっている。古参のセンター担当者は一様に「電話しかなかった時代が懐かしい」ともらす。それくらいWEBサイトからの問い合わせ対応とEメールでのやりとりに手間がかかるのだ。

 コンタクトセンターにおける永遠の課題の一つは「いかにしてオペレーションコストを低減するか」であるが、その観点からするとEメール対応は最悪なのだ。試行錯誤の蓄積によって回答テンプレートの充実に成功し、電話応対以上の効率化が図れているといった例もごくまれに見られる。

 しかし、一般にはEメールでの対応は電話応対の3倍の手間、オペレーション時間がかかるといわれている。電話で話す言葉と違ってEメールは相手に残るものであるだけに、その記述は慎重にならざるを得ない。ちょっとした言葉遣いの誤りは聞き流されることも多いが、Eメールでの誤字や表現ミスは下手をするとクレームにもつながってしまう。このEメールオペレーションの効率化は多くのセンターにとって緊急課題だろう。

■WEB FAQの充実に活路を見いだせるか?

 Eメールで問い合わせをしてくる顧客は(まれに携帯メールの場合もあるが)当然PCがあり、WEBが見られる環境にある。そこで各社とも、必死に力を入れているのがWEBサイトのFAQ(Q&A)の整備だ。FAQが整備されておりユーザビリティーも良ければ、顧客自身が自ら求める回答を探し出せ、問題解決に到る、いわゆる「セルフサービスWEB 」が実現する。

 センターの受付時間に関係なく、24時間自分の必要なときにいつでも問題解決ができるため、顧客満足の向上にもつながる。また、このWEB FAQの利用者が増えれば、Eメールでの問い合わせは激減するし、電話での問い合わせも減る傾向を見せるのだ。

 しかし、言うは易く行うは難し。このFAQの整備には実際、かなりの労力がかかる。まず、顧客のFAQの利用ログを見て表示順位を考えなくてはならない。製品が様々なラインや品番で展開されているとしたら、それごとに作業が必要になる。また、新しく発生した質問と回答は随時追加しなくてはならないが、その際先に入っている同じような質問と回答との類似性を考え、記載か削除かの判断をしなくてはならない。また、ほとんど閲覧されていないような項目の削除も必要だ。そのようなメンテナンス作業を怠れば一気に顧客の利便性は低下してしまうのだ。

■CTIの導入で一気に片を付ける?

 当ニューズレターで筆者はいままで基本的に「システム先行」での課題解決に反対してきた。「ソリューション(課題解決)」という言葉に「システム」が置き換えられ、「まずはシステムを導入して、自社の課題解決につながるプロセスを構築しよう」としたケースはかなりの確率で失敗に到るからだ。

 しかし、このFAQの整備に関していえば、比較的早期にシステム導入することをお勧めしたい。自社で行うかコンサルティングを受けるかはともかくとして、当然、事前の環境調査や設計・整備をという人的プロセスが必要となるものの、実際の運用フェーズの作業に関しては人的対応の限界と非効率が顕在化するからだ。今日のCTI (Computer Telephony Integration)は非常に進化しており、冒頭記したコールセンターの守備チャネルの拡大に対応して、電話だけではなくWEB FAQにも対応している。それによって、前項で述べたような運用フェーズでの整備・メンテナンス作業の大半は軽減できる。また、手作業で行うよりも漏れや抜けもなく、確実な結果が得られるのである。

■コンタクトセンターのグッドスパイラルとは? 

 前述のCTIによるFAQ整備のもう一つの効用は、それが今回のタイトルでもある「コンタクトセンターのグッドスパイラル」構築の糸口となることだ。グッドスパイラルとは、コンタクトセンター内、及びそこから社内にもたらされる知見の好循環を意味する。顧客との応対を最適化しセンターの効率を向上させつつ、さらに顧客からの知見(顧客知)を応対業務の中から抽出して社内の各事業部に供給するのだ。

 以下にその実現ステップでまとめる。

1.前述の通り、WEBサイトのFAQを整備し、Eメール、電話での問い合わせを軽減。効率化を達成する。

  2.FAQの整備の過程において、頻出クェッション項目や顧客が自ら解決に到った最適なアンサー項目を明らかにし、それを転用してEメールの回答用テンプレートの整備や、オペレータの電話応対用Q&Aも整備する。それによって、効率化と応対品質の向上を実現する。

3.さらに上記3つのコンタクトチャネルを連動させることによって、より顧客からの質問や要求傾向が統合的に見られることになる。それによって、センターの業務は単に顧客からの問い合わせを「処理」するのではなく、製品開発やサービス向上のための手がかりをつかむレポートを作成する機能までを果たせることになる。

4.上記レポーティング機能は、顧客からのEメールの問い合わせデータやオペレータの電話応対記録(コールログ)をテキストマイニングするところまで踏み込めば、さらなる知見を抽出することも可能となる。

■まだまだ余地のあるセンター改革

 前述のようなサイクルが完成されているセンターが実際にはどの程度あるかといえば、まだまだ少数派だといえよう。上記プロセスの大半を人的労力に頼っているために、FAQの最適化や顧客のユーザビリティーが向上しなかったり、顧客知を吸い上げるところまで到らず、「処理業務」に追われてしまっている例が散見される。日々の業務に追われていることでセンターの担当者のモチベーションも上がらず、顧客満足も向上しない。まさにグッドスパイラルの逆、バッドスパイラル(悪循環)に陥っているのだ。

  コンタクトセンターには先に述べたように、いかにコストを低減するかという大きな課題が常に存在する。今回提唱している「コンタクトセンターのグッドスパイラル」を完成させることはその答えになるだけではない。もう一つのコンタクトセンターにおける永遠の課題である、「いかに自社に対してプロフィットをもたらすか」という点に応えることにもなるのだ。

 「プロフィット」というと、アウトバウンド・テレマーケティングによる新規獲得効果のようなROIに現れやすい部分にまず目がいくが、それ以上に顧客のFAQ利用状況や対応状況の中から抽出された「顧客知」の中にこそ利益の源泉が隠されているはずなのだ。

 当然、システムを入れればそれがすぐに実現するものではない。また、そのROIを明らかにすることも難しい。しかし、あえて今回のTipsはシステムを上手に利用して、最短距離でコンタクトセンターの永遠の課題である「効率化とプロフィット貢献の両立」を実現しようという主旨である。目的はシステムの導入ではない。課題の解決方法の一つとして提唱しているわけだ。それこそが本来の「ソリューション」というものではないだろうか。


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変な販促

実際に街で出会った変な販促の数々を気楽に綴ったつもり、、、。
なのですが、毎回賛美両論(賛の方が多いのが救いですが)、かなりの反響をいただいてしまっています。
シリーズはいま、3回まできています。
求む、ネタ。

 「第1回」
 http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/media/index.cfm?i=e_idnl036
 「第2回」 
 http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/media/index.cfm?i=e_idnl040
 「第3回」
 http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/media/index.cfm?i=e_idnl062


-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

「ちょっと変だな、この販促」

 今回は、年末の忙しい時に読んでいただいている読者の皆様に、ちょっとした話のネタをご提供しようという趣旨で、いつもより少々軽めに話を進めさせていただきたい。日々の業務ではクライアントの販売促進のプランニングに頭を悩ませているのだが、実は自分自身も販促に弱くて、ついプレミアムに惹(ひ)かれたり、店頭の POPの勧めるがままに商品を購入してしまう。そんな、筆者の目を通した販売促進の姿をお伝えしよう。
 ■究極のPOP?

 「ちょっと変」の前に、良い例を紹介しよう。全くの記憶で恐縮であるが、恐らく10年以上前にうかがった、噺(はなし)家・桂文珍師匠のお話の中に、これぞ究極の販促・POP(Point of purchase :売り場に設置される宣伝材料)と感じさせるものがあった。いわく、「大阪で980円カメラのワゴンセールをしていた。そこはさすがに客の心が良くわかる大阪の商人がすることで、東京だったら『激安!』と書くところを、ズバリ一言書いていた。『写る』だ。980円が安いのは当たり前で見てわかる。それよりも『ちゃんと写るんやろか?』という客の不信感に応えることが大切」。

 ごもっともである。シチュエーションに合わせた見事な購入阻害要因の払しょく。最も的確な販促事例の一つとして、今も筆者の記憶の中に残っている。

 ■ビジネスイベントでのフシギ

 シチュエーションと言えば、いつも不思議に思うのがITビジネス向けの大規模展覧会(イベント)でのコンパニオンの存在だ。巨大な会場、ごった返す来場者の波、その中でいかに自社のブースを目立たせるか。競合にではなく、とにかく自社に誘引するという意図は理解できる。しかし、会場の通路を歩くと、モーターショーばりの派手なコスチュームの数多のコンパニオンに声をかけられる。「アンケートにお答えください!!」… はて、その会社のブースに筆者はまだ足を踏み入れていない。「お答えいただければ、この○○を差し上げます!!」…その企業のソリューション(商品)に筆者は興味もないし、見てもいない。しかし、提示されたノベルティーは欲しい。ましてや、にこやかに女性に頼まれたとあっては断われない…。そして、若干の罪悪感にさいなまれながら、適当なアンケート内容を記入するのだった。

 ITビジネスの展示会に派手なコンパニオンという、シチュエーションとしての異様さ以上に、この場合問題なのはタイミングだ。前述の通り、アンケートを依頼するタイミング、ノベルティーを提示するタイミングが適切でないばかりに、その企業は内容のないアンケートの山を収集しているのだ。そのスクリーニングやフォローの手間を考えればかなりの無駄と言わざるをえない。

 ■雨の日サービスの怪

 飲食店で実施されている「雨の日サービス」。普段はちょっと高い価格のランチが雨の日に割り引きになる。雨模様の日のランチには、つい「せっかくだからあの店に」と行くようになり、やがて雨ではない日にも普通に通うようになってしまう。雨というシチュエーションをいかした展開で、筆者はこのパターンで通うようになった店が会社の近くに数件ある。しかし、先日CDショップで「雨の日サービス券」をもらった時には少々疑問符が頭に点灯してしまった。「雨の日に3回ご来店いただき、CDをお求めいただいた方には、300円のクーポンと交換」と書いてあったからだ。天気だろうと雨が降ろうと、ランチには毎日出かける。しかし、雨の日にわざわざ CDを買いに行くだろうか?また、自分がCDを欲しいと思う時、または発売日に都合がよく雨が降るだろうか?

 恐らくこの販促は、飲食店の展開を模した手作り施策なのであろうが、それにしても顧客側の購入タイミングを全く考慮していない点で完全に落第点だ。しかし、このような売る側の思い込みで考えられた販促はこの例に限らず、散見される。

 ■顧客の視点で「シチュエーション」と「タイミング」を見直す

 街にはクリスマス・イルミネーションもまぶしく、ボーナス商戦・年末商戦もたけなわの12月後半、そこかしこで工夫を凝らした販売促進の数々も目にすることができる。それらを今回のポイントである「シチュエーション」と「タイミング」で見直してみていただきたい。それも、基本的なことではなるが「顧客の視点で」だ。意外と「ちょっと変だな、この販促」と思えるケースに出会えるだろう。そして、それを反面教師として自社の販促プランにいかしていただいてはどうだろうか。


「ちょっと変だな、この販促2」

(電通ワンダーマン「wunderman-d.com Newsletter」より)

 昨年12月に「ちょっと変だな、この販促」と題したコラムをお届けしたが、読者の方からもご自身が出会った「ちょっと変な販促」のメールをお寄せいただいた。そこで今月も、巷(ちまた)で目にした事象とその反面教師としてのポイントを探っていきたいと思う。
 ■顧客を遠ざける会員化施策?

 はじめに読者の方からいただいた体験談をご紹介しよう。「いつも利用していたスーパーが突然会員制を取り始めました。入会金500円ですべての商品が会員割引価格になるというもので、確かにお得なんですが、何となくわざわざ入会する気になれなくて、いつしかほかの店を利用するようになってしまいました」。という内容だった。詳細をうかがうと、そのスーパーが「コストコ」やダイエーの「Kou's(コウズ)」などの、いわゆるホールセールクラブに業態転換したということではなく、顧客の囲い込み施策の一つとして導入したもののようだ。

 結果としてこの方は会員化施策には乗らずに、結局は離反してしまったわけだが、ここに一つの教訓が見て取れる。つまり、第一に入会のハードルが高かったということだ。昨日まで普通に買い物ができていたのに、急に500円の入会金が必要といわれたら、割引価格によってそれ以上のメリットがあるとしても、躊躇(ちゅうちょ)する方も少なくないだろう。そして、しばらくは非会員価格で買い物をするが、やがて損をしている感覚が強くなって離反してしまう。第二の問題点としては囲い込みを焦るばかりに、初期段階で入会させられなかった顧客にネガティブな印象を与えてしまい、結果として遠ざけてしまったことがあげられる。

 会員化はダイレクトマーケティング、CRMにおいても定番中の定番の施策だ。しかし、その施策内容に関しては、十分な検討を行わなければこの例のようなことも起こりえることを認識しておきたいものだ。

 ■ネガティブアプローチの危険性

 最近の犯罪発生率の増加は、何らかの自衛をせねばという気に否が応でもさせる。そこで我が家もピッキング対策を行ったのだが、その経緯にはちょっとしたマーケティング的なTipsが隠されていたように思える。

 筆者はピッキング被害のことは以前から気になっていた。そして、ある日ポストに鍵の交換などを勧めるチラシが投函された。チラシには、いかに今日ピッキングが増えて手口が巧妙化しているかということ、侵入された際の被害額の例などが記されていた。

 しかし、ここで一つ問題がある。その業者は、自社でその施工を行いたいがためにチラシを入れてきているのだが、それらの内容がピッキングに対する恐怖訴求、ネガティブアプローチだけしかない。数多ある業者の中から施工を依頼する先を決定するための情報がないのだ。企業としての信頼性、施工の技術、対応の迅速性など訴求ポイントもあるはずだろうが、それらが伝わってこない。結果、筆者はチラシを入れてきた業者を選ばず、近所に店舗のある業者の所に話を聞きに行き、依頼したのだった。

 この件は、恐怖訴求やネガティブアプローチは需要を喚起するものの、自社を指名買いさせるような訴求ポイントをセットで用意しなければ顧客獲得につながらないこと。あまつさえ競合に誘導しかねないことを示している。恐怖訴求やネガティブアプローチは保険やセキュリティー関連のソリューションなどには有効であるが、それを行う場合は、ターゲットに「自社を選ばせる」要素が訴求ポイントとして押さえられているかをチェックすることをお勧めしたい。

 ■The Consumer, not the Product must be the hero.
 先にお伝えした「顧客を離反させる会員化」も「ターゲットを取り込めないネガティブアプローチ」も、どちらも共通している点がある。それは、「どう売るか」という論理だけで考えられた販促となっており、顧客視点が忘れられてしまっていることだ。ともすれば忘れがちなことではあるが、顧客(生活者)を中心に考え直してみることでそうした過ちは防ぐことができるはずだ。

 当社の創始者であるレスター・ワンダーマンも、“The Consumer, not the Product must be the hero.(主役は商品ではなく顧客でなければならない)”と、ダイレクトマーケティングの中心思想を述べている。主にプロダクトアウトな発想を戒めるためのものであるが、今回の「売り手側の思いこみによる施策」を考え直すためにも思い起こしてみるべき言葉だといえるだろう。

 ■顧客を中心に考え直してみよう

 我々マーケッターも仕事を離れれば、一生活者である。しかし、時としてそれを忘れ、売る側の理論で「変な販促」や今回のような「逆効果の販促」を行ってしまうのだ。施策立案時や施策展開前には是非とも顧客(生活者)の視点に立ち戻って再度チェックを行うことを忘れないようにしたいものだ。そのための具体的なチェックポイントを以下にまとめ、今回の Tipsとしたい。

1) ユーザーベネフィットが明確に設定されているか? → 顧客が得られる具体的な便益の説得。契約条件やオファー等の金銭的メリットから安心感や信頼感といった情緒的メリットが具体的に設定され、顧客に伝わりやすく述べられているかに注意する。特に後述の2)のポイントと併せてそのベネフィットが「自社ならでは」の魅力を持っているかという点も重要。

2) 自社の強み(コア・コンピタンス)およびユニークさの訴求ができているか? → 顧客がなぜ自社を選ぶべきなのかという理由の提示。競合との差別化ポイントが明確にされていること。
自社の強みがどのような背景で実現できているのか(技術や設立以来の歴史、アライアンス関連等)、加えて競合を含む業界においての相対的な位置関係と優位性などをアピールすることも理解を得る上で有効。

3) ユーザー行動動線の明確な設定されているか? → 顧客にメッセージを受取った後にどの様に行動してほしいのかを明確に提示する。
レスポンスしてほしいのであれば、そのデバイス(フリーダイヤルURL)を明示する。来店や直接購入などを促すのであれば、1)のベネフィット訴求がきちんと受け入れられるものになっていることが重要。求める行動のハードルの高さの設定に注意。

4) 顧客コミュニケーションのロードマップが設計されているか? → 顧客獲得・育成のプログラムが具体的な施策と同時に設定されていること。
施策単体で考えるのではなく、顧客の購買プロセスの中でどのように位置づけられるのか。また、見込み客獲得~ロイヤル顧客化までの育成プロセスにおけるコミュニケーション計画を事前に構築しておくこと。


 今回も販促施策の例をあげて、その反面教師としてのポイントを振り返る内容でお届けしました。今後も読者の皆様が体験された「ちょっと変な販促」をお聞かせいただければ幸いです。


「ちょっと変だな、この販促3


 正月も松を明けて、成人式3連休も済んで、ビジネスもいよいよいつものトップスピードで動き出す今日この頃ではないでしょうか。しかし、思い起こしてみれば、読者の皆様の前にも年末年始、摩訶不思議、妙な販促の数々が登場してはいなかったでしょうか。

 というわけで、当ニューズレターとしてはシリーズ3回目の「ちょっと変だな、この販促」です。人のふり見て我がふり直せ。思い当たるところのある方は、今からでもその販促計画に役立ててはいかがでしょうか。

■「空くじアリ?」

 年末である。大売り出しである。となると、福引だ。ガラガラとハンドルを回してポンと何色かの玉が出る。たいていは末等の赤玉と分かっていても、出てくるまではドキドキする。

 ちなみに筆者は過去、折りたたみ自転車、トースター、ホットカーペット等を射止めている。どうやらそのあたりで中途半端に人生の運を細かく使ってしまっているらしい。

 ところで、今回遭遇したのは、あるショッピングモールで行われていた驚くべき割り切りというか、何と“空くじアリ”の福引である。たいていの福引は“空くじなし”が多く、末等でもティッシュやあめ玉1個をくれたりする。しかし、筆者がその福引でガラガラを回し赤い玉、つまり末等が出たときにもらえたものは、明らかに派遣のコンパニオンとおぼしき女性の「残念でした~また挑戦してくださ~い!」というかけ声だけであった。

 「え?」・・・・・・「すみません、ティッシュとかアメとか、何かくれないんですか?」。自らの行為を卑しいと感じる以前に思わず自然に反応してしまった。そして答えは「はい! ありません!」だった・・・・・・。

 何とも腑に落ちず(なぜなら、抽選補助券が揃わず最後に当座必要のない単四乾電池4個パックまで買ったからだ!)男性の係員に“末等商品なし”つまり“空くじアリ”に踏み切った理由を聞いてみた。曰く「ティッシュはどうせ街角で配っているし、ここはビジネス街のショッピングモールだから、いい大人があめ玉1個もらってもうれしくないでしょう? だったらその分、末等以上の商品を少しでも良くした方がいいじゃないですか」との答えであった。

 正直、筆者はそれが正しいのかどうかは分からない。ただ、人間は何かの行為をした時、その代償を求めるのは確かだ。福引券を集め、抽選をし、その結果何もない。少し寂しい。ダイレクトマーケティングのセオリーでレスポンスオファー(申し込みのための何らかの品物又はサービス)は、たとえどんなものでも「ないよりはあった方がよい」というのがある。

 福引の場合、どうなのだろうか。同じなような気がするが・・・・・・。何より、明るく「はい! 何もありません!」と答えられた人の、そのショッピングモールへのロイヤルティー低下が気になるのは私だけだろうか。このあたりは、皆様の積極的なご意見をお伺いしたいところだ。

■ 「誰がためにアンケートはある?」

 サービス業や様々な業種でもあるが、特にチェーンの飲食店で目に付くのが、テーブルの隅に置かれている「お客さまアンケート」だ。“商品について”“接客について”“清潔さについて”等々を5ポイントで評価させ、最後に「その他お客さまのお気づきの点をお聞かせ下さい」というフリーアンサーの欄があるのが一般的だろう。

 たいていの来店客は目もくれない。それに手を伸ばそうとするのは、よほど不快な思いをした客か、希ではあるが感動する体験をした客、希にアンケート好き。しかし、彼らが一様に気にするのは、「これを記入して本当に自分の意見は本部に届くのだろうか」という疑惑。受取人払いで自らポストに入れるものならまだよいだろう。しかし、店内に「アンケート回収箱」があったりしたら、もうその店内で処理されてしまう気がしてならないのが一般の心理だろう。

 そもそも、この手のアンケートはノー・オファー(謝礼なし)のケースが多い。とすれば、前述のようによほど不快か、感動したかの極端な意見に偏るものと思われる。確かにそのような目的も存在するだろう。だが、自分の声が届くと信じ、激しいクレーム、もしくは熱い思いだけが本部に届いたところで何の意味があるのかと、ふと疑問に思ってしまう。それらの来店客は、いわゆる「声の大きい客」である。極端な意見だけを収集しても活用は難しい。

 もっと気軽に、広く来店客の評価や意見、提案を集める方法を考えてみてはどうだろうか。

例えば、QRコードを座席の「アンケート募集」のPOPに印字し、即座に携帯でアクセスさせる。オファーも「もれなく」ではなく「抽選で500円の商品券」程度の軽いものにする。そうすれば、食事のついでにおもしろ半分でアンケートに答えてもらうことで、より多くの来店客の本音もしくは意外と斬新な意見が集められるかもしれない。

 千年一日のごとく、従来型の方法でアンケートをやっていないで、そのあたりの工夫をしてみてはいかがだろうか(もし、読者の方で画期的な手法を目撃された方がいらしたら、是非ご一報いただきたい)。

 行数の関係で今回は2つの例しか紹介できなかったが、目を凝らし少々注意力を働かせてみれば「不思議な販促」は数多く発見できる。そして、それを他山の石とすれば、自らも良質な販促計画を立案できる。


 

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社訓

「社訓」。何とも古くさい語感であり、毎朝唱和でもされようものなら若い社員は逃げていくでしょう。
しかし本当にそうなのでしょうか。
前の項「モノの本質的な価値」でも述べた内容は、本来この中にも含まれているはずなのです。

最近、この「社訓」や「行動規範」を見直したいというご依頼が多くなってきました。
企業も迷っているのですね。
しかし、全社一丸となれる社訓を創ることはとても大切なことだと思います。

 http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/media/index.cfm?i=e_idnl027 

なお、社訓については「世界最強の社訓」(講談社刊)という本をご一読されることをおすすめします。

-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

「ミッション・ステートメントで苦境を乗り切れ!」


 突然ですが、ここで質問です。「あなたは、自社のミッション・ステートメントが言えますか?」。、、、ダイレクトマーケティングやCRMを主領域とする当社がなぜ、ミッション・ステートメントという企業戦略やブランド戦略に関わるテーマを問い掛けるのか不思議に感じられる方も多いだろう。しかし、実は、もはや当社のビジネス領域においても非常に重要なテーマになっているのだ。
 ◆ミッション・ステートメントは単なるお題目ではない!

 出口が見えそうで見えない長引くデフレ不況、消費者の心理は変化し、外圧や規制緩和、業界再編などで市場環境は大きく変わっていく。昨日までの常識は今日はもう通じず、囲い込んでいたはずの顧客も逃げていく。そんな時、あなたは何を拠るべき縁として明日を考えるのだろうか。

 ミッション・ステートメントとは、まさに企業とその従業員の拠るべき縁となるべきものである。つまり、企業としての存在理由であり、その従業員にどう生き、どう行動すべきかを示す指針だ。今日のごとく、道を見失いがちな時にこそ、それを見直してみたい。

 しかし、冒頭の質問に応えられない方がいたとしたら、それは自社にミッション・ステートメントが明文化されていないか、きちんと浸透していない、もしくは既に忘れられてしまっていることを表している。また,きちんと言えたとしても「毎朝、朝礼で斉唱しているだけ」ということでは意味がない。

 ミッション・ステートメントとは全社・全従業員が心を合わせて課題解決に望むためのツールだ。企業としての存在理由を明確に認識し、その実現のために自ら何をなすべきかを常に意識させることができれば、その社員にとっての仕事は単なる“労働”ではなく、自己実現となる。つまり、企業の目的を個々の従業員が納得・共感し、自己の目的意識として共有できた時こそ初めて効果を発揮するものなのだ。

 ◆いかにしてミッション・ステートメントを作り上げるか?

 マーケティングの神様であるフィリップ・コトラーは、自著「マーケティング・コンセプト」において、“…たいていのミッション・ステートメントには以下のような立派な言葉が含まれている。「社員は重要な資産である」。「我々の手がける領域においてベストを目指す」。「我々の目的は期待を超えることである」。「株主にとって平均以上のリターンをもたらす」。手っ取り早くミッション・ステートメントを作りたければ、これらの文言を適当に並べ替えればよい。…”などと、いささかシニカルに述べている。しかし、本当にこれで十分なのだろうか。

 そもそも、ミッション・ステートメントが企業の指針として、もしくは従業員の精神的支柱として機能しないケースでは、現実との乖離、形骸化に原因がある。今日、冒頭に述べたように、顧客の心も市場のルールも日々移ろっていく。そのような環境の中では、ミッション・ステートメントそのものの今日性、適合性を確認すべきであり、言葉遊びのように定型のキーワードの並べ替えでは済まないのだ。

 ◆顧客視点を取り入れるべし!

 そもそも、市場も顧客も考慮せずに、「企業としていかにありたいか」を主張するだけでは、かつての独善的なCIブームの再来にしかならない。企業はもはや、DRM(Direct Response Marketing)CS(Customer Satisfaction)CRM(Customer Relationship Management)などを通して顧客の声を聞く、顧客と対話することを学んだはずだ。だとすれば、その学習効果を生かし、今こそ自社のミッション・ステートメントを見直してみるべきだろう。

 しかし、言うは易しという感がないでもない。今日の市場や顧客に適合し、従業員の心が拠って立つようなステートメントを考えるのは容易ではないだろう。では、考える前にまず、積極的に顧客に聞いてみればよいのではないか。応えは彼らの言葉の中にあるかもしれない。

 実は、過去の各企業のミッション・ステートメントの策定過程において、顧客に聞くという行為がなされたケースは少ない。CEO自身が書く、CEOが書き幹部社員が推敲する、社内の委員会が編纂するなどのパターンがあるが、顧客の声を聞くという過程はあまり取られていないのが現実のようだ。確かに、「自らどうあるべきか」という存在理由を問う問題であるだけに、 CEOや自社内の意見が重要であろう。しかし、顧客主導型に移行した今日の市場環境を乗り切るためには、そもそも現在自社は顧客からどう見られており、何を求められているのかを正しく理解することこそが第一歩だといえよう。

 とすれば、今まで以上に事前にリサーチを行ったり社内に堆積している VOC(Voice Of Customer)を解析し、取り入れる手順を踏むべきだろう。おそらく、それらは型どおりの定量的な調査・集計では明らかにすることはできないが、幸いにも今日は優秀なテキストマイニングのツールなどもあるのだ。顧客の声を反映し、求められる企業としての自信をベースにすることができれば、それはパワフルなミッション・ステートメントとなることは間違いない。

 ◆今こそOne face One voiceの実現を!

 2000年から2002年頃にかけてCRMが一斉を風靡した。しかし、一方で数多くの失敗事例が取り沙汰された。その原因としては、綿密な計画なきシステムソリューションの導入なども挙げられるが、最終的に一番大きかったのは、CRMの目指すべきゴールである“One face One voice”というポイントが多くのケースで軽視されていたことにあるのだろう。

 “One face One voice”とは、「一人一人の顧客に対し、企業としてすべての顧客接点において、各従業員が共通化された意識のもと、統一された対応を最適な形で提供すること」である。そのためには、本来はいわゆるマニュアルよりもレイヤーの高い、ミッション・ステートメントの共有が根底になければならない。しかし、残念ながら当時CRMの計画と実行において、ミッション・ステートメントまでが考慮されたケースは少ない。

 戦略なきキャンペーン施策の集合体となってしまったCRMプロジェクト。ブランドに対する影響を配慮せずに、粗略に行っていた顧客接点対応。顧客ベネフィットよりも自社の理論で運営されていた会員組織。誤った対応は枚挙に暇がない。今こそ、その反省をもとに、“One face One voice” を実現することが重要なのだ。一時期流行ったeCRMのソリューションが持っていた、一人一人の顧客に合わせた1to1のパーソナライズ機能などのような小手先の対応ではない。先に述べたように、「企業としてすべての顧客接点において、各従業員が共通化された意識のもと、統一された対応を最適な形で提供する」という強い意志を全社で持つことこそが大切なのだ。そのためにも、顧客視点をミッション・ステートメントに盛り込み、顧客囲い込みを実現していくべきなのである。

 自信のない人間には魅力はなく、常に対応に統一感と整合性のない人間は信用されない。企業という存在においてもそれは全く同じだ。この厳しい環境においてこそ、企業自身が自信を持ち、胸をはって行動できる指針を再度作り直すことをお勧めしたい。


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営業改革はまずここから・・・

「営業改革」。どの企業もリストラによるバランスシート上だけでの業績回復を本物にするためにいよいよ本腰を入れてきますた。
しかし、SFA(セールス・フォース・オートメーション=営業支援・管理システム)を入れればすむ問題ではありません。
営業部門は長きにわたりKKD(勘と経験と度胸)が支配してきた暗黒大陸でした。
改革は容易ではありません。
まずは、ビジネスマン1年生が教え込まれることの本当の意味を全員で共有するところから始めてみましょうという観点で書きました。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/crm.cfm?i=20051214crm58e3


-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

「"営業改革"とは言うけれど…」
 本連載において営業改革をテーマとした論説を何度か行ったが、読者の方からそれに関連したご意見やご質問などを最近多くうかがうようになった。特にある程度大きな規模の企業の営業セクションは悩みが深刻なようだ。そこで今回は、営業改革における具体的なポイントを今まで述べてきたことの整理も含めて解説してみたい。

 ■なぜ、改革はうまくいかないのか?

 各企業とも今は正に「営業改革」がこれからのテーマだという認識は一致しているところだ。業績の回復・維持のために営業費用の切り詰めはとことんまでやってきた。もはや減量の限界状態にあるボクサーのように絞り込まれ、ぜい肉は一切ない状態だ。となれば、次は売り上げと営業利益を回復させる以外に方法はなく、そのためには営業改革を行う以外に道はないからだ。

 しかし、どの企業も全く手をこまねいて改革をに着手しなかったわけではない。SFA(Sales Force Automation)のソリューションの導入によってプロセスマネジメントを強化しようとしたり、MBO(Management By Objective=目標管理制度)を人事考課に盛り込み管理・指導を強化しようとしたり、はたまた情報強化のためにEIP(Enterprise Information Portal)を導入したりと、その施策はかなり幅広く展開されている。だが、実績が上がっていない。それはなぜなのだろうか。答えは、「根本的な部分が改革されていないから」だ。危機はどこにあるのか、何が問題なのかの認識が全ての営業担当者に共有されていない。そしてその解決のためのポイントが明確化されていないことが問題なのである。

 ■ 第1のポイント:ビジネスモデルの変化への認識

 第1のポイントは、今日、ビジネス全般において、そのありかたが大きく変化しているという認識を徹底することだ。その企業が扱っている商品・サービスによっても異なるが、現在、多くの企業は新規顧客に生涯一度きりの購入商品を売り切って完了するビジネスモデルを取ってはいない。購入客を囲い込み、関係を継続させ、アップセリングやクロスセリング、アフターマーケティングによって収益を維持・拡大させるモデルに移行しているはずだ。しかし、その認識が営業現場に徹底されていないことが少なくない。不効率な新規開拓への注力が営業成績を悪化させていないだろうか。既存顧客をケアすることが収益源となるとの認識は末端までなされているだろうか。とかく大きな営業組織においては、高度成長期以来の新規開拓依存型の成功体験がいまだに根を張っているケースが散見されるのだ。

 ■第2のポイント:自社と商品の本質的な価値の理解

 第2のポイントも認識レベルにおいて解決を図るべき部分だ。営業とはある意味、競争に打ち勝つ行為である。競合他社や顧客の中の購入優先順位に対していかに自社を優位なポジションに置くかが営業としての勝負なのだ。しかし、その勝負をかけるにあたっての優位点を、その「価値の伝達者」たるべき営業担当者が理解できていなかったとしたら、その勝負は既に戦わずして敗れているようなものであろう。「自社の価値(コア・コンピタンス)は何なのか」「商品の本質的な価値な何なのか」を全ての営業担当者が明確に答えられるだろうか。また、答えられるような教育や情報伝達・価値共有を行っているだろうか。ごく当たり前な部分ではあるが、意外なことに実際の現場ではこの部分がおざなりにされ、自社商品の機能や価格面での訴求だけが行われているケースは枚挙に暇(いとま)がない。全ての技術はコモデティー化傾向にあり機能差異が図りにくい。マーケティング戦略も追従と模倣が当たり前に行われる。このような環境の今日だからこそ、売り手が表面的には見えない価値やフィロソフィーをきちんと伝えて理解を得ることが重要なのだ。

 本項に関しては旧連載「CRM講座-実践の現場から-」のバックナンバー「私たちは、何を売っているのか?」もあわせてご参照いただきたい。

 ■第3のポイント:適正プロセスとレベルの設定

 前項までの認識レベルの徹底が図られたら、次は具体的な実行段階の改革に入ることになる。そのポイントは、営業担当者に自らの行動における最適プロセスと適正レベルを正しく理解させ実行させることであり、その結果、成果をあげさせることである。プロセスの設定というとSFAの導入を想起させるが、実はその前段階での最適なプロセス、もしくはコンピテンシーモデル(優秀な担当者の実行モデル)の洗い出しがきちんとなされていないことが非常に多い。プロセス化されていなければ。収益をあげるための重要なポイントの漏れや抜けがおこりチャンスロスが発生する。また、場合によってはトラブルの発生という損失も懸念される。

 さらに、表面的なプロセスだけではなく、その実行のレベルも重要なポイントだ。例えば、「定期的に顧客訪問を行う」という必要プロセスがあったとして、その内容が単なる軽いあいさつレベルの訪問なのか、しっかりと顧客の現状を把握するまでヒアリングを行い課題抽出と解決策の提示をするところまでやってくるのかでは、顧客の満足度は大きく異なる。その結果も大きく変わる。しかし、浅い、もしくは粗いレベルでのプロセスの定義しかなされていなければ見過ごされてしまうポイントなのだ。

 本項に関しては旧連載「CRM講座-実践の現場から-」のバックナンバー「『ちゃんとやる』ということ」もあわせてご参照いただきたい。

 ■本質的な改革のために

 今回は営業改革について、ある程度大きな組織規模の場合をイメージして述べさせていただいた。改革とは舵の切り替えである。特に大きな船においては方向転換は容易ではなく、ともすればかなりの距離をそのままの勢いや方向で進んでしまう。しかし、今日の経済環境においては多くの企業において、そのままの方向の先にあるのは滝や断崖なのであろう。正しい航路にできるだけ早く切り替えるためには、その重い舵は小手先ではなく、根本的な部分から動かさなければならない。前述のことはある意味、当たり前なことも多いだろう。しかし、それらが実際に自社において本当になされているかというところから再度見直してみることをお勧めしたい。


-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

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実際のKMの進め方

最近KM(ナレッジマネジメント)にかなりの比重をおいています。
やはり、手っ取り早く企業を再生するには社内に眠る知的資産を再活用し、さらなる価値を生み出していくしか無いでしょう。
もうすぐ、共著で「営業部門を対象にしたKMの導入」という野心的なテーマの本がダイヤモンド社から発売されますが、そのエッセンスはすでのこのコラムに記されています。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/crm.cfm?i=20051214crm67e3 


-----------<以下バックナンバー用転載>----------- 

第27回「ナレッジマネジメントの導入を実践してみてわかった大きなポイント!」


■「部門ポータル」のススメとそのポイント

 昨年の10月2日に当連載の第9回にて「KMの立ち上げは部門ポータル(DKP)からはじめよう!」と題し、スモールスタートして成功させるKM(Knowledge Management)について記した。

 その内容は、一般的な" EKP( Enterprise Knowledge Portal) "というソリューションの概念からいったん離れ、"部門ナレッジポータル=DKP (Division Knowledge Portal)"、つまり"E"の一歩手前の"D"からはじめることを提唱したわけだ。

 DKPという考え方のメリットは、全社一斉立ち上げの場合の各種の軋轢(あつれき)や、高い難易度の調整を回避し、クイックスタートが可能な点である。さらに、全社に広げたものの、意外と共有すべき内容(ナレッジ)が薄かったというような結果を避けることができ、むしろ、部門という単位の中で完結させることによって、実は価値あるナレッジがたくさん見つかるという効果があることを前回述べさせて頂いた。

■さらにわかってきたKM導入のポイント

 前述の執筆の前後から、筆者と社のスタッフはその考え方に従って、各企業様にKMのコンサルテーションを展開したり、オリジナルのナレッジポータルのソリューションを開発し、数社に納入するなどの活動を行ってきた。その中でさらにわかってきた「KMを立ち上げる際の成功のポイント」がある。いくつもポイントはあるが、今回はその中でも最も重要と思われる2つのポイントをご紹介したい。

■POINT・1:やはり"器"は必要だ!

 “器”とは、いうまでもなくポータルのことである。SFA(Sales Force Automation)にしろCRM( Customer Relationship Management)にしろ、「ソリューションありき」の導入は多くの場合、失敗の道をたどることになる。

 しかし、ことKMに関しては、「自社におけるナレッジとは?」といったような机上の論議を繰り返している方が、失敗率が高いのが事実だ。なぜならば、そのような論議をしている間にも、自社の貴重なナレッジはどんどん散逸していってしまうからだ。そして、前述の通り、全社共有するためのEKPやEIP(Enterprise Information Portal)などのような導入に多大な費用や時間のかかるものではなく、筆者の提唱するようなDKPのような低予算のものをクイックに導入。ポータルに収納すべきナレッジを、どんどん取りこぼすことなく取り込んでいくのが正解なのである。

 DKPは導入後、全社的なEIPとリンクさせ連動を図ることも可能だ。ポイントは、小さな器をクイックに導入し、スマートにスタートさせることなのだ。

■POINT・2:とはいえ、"組織"をきちんと作ること

 前項で、まずは"器"とは言ったものの、その器をきちんと運営していく"組織"がきちんと作られることは非常に重要だ。

 KMを自社に導入すると決定し、器であるポータルの選定を行ったら、組織デザインをすることがすぐさま必要になる。ポータルの選定を行っているということは、"ナレッジマネジメント担当"なりの専任者は決まっている段階だろう。ポイントとなるのは、その専任者任せにするのではなく、「他部門との連動や、兼任者のアサインをいかにうまく行うか」なのだ。

 特に重要なのが、兼任者のアサインである。専任者をサポートすべく関連部署からKMを推進するための兼任者が選出されるのが通常であるが、ありがちなのは、その兼任者がまだまだ経験不足で、実務能力も部門への調整力も乏しい若手だったりする例だ。こんな組織では間違いなく失敗する。自部門に対しKMの重要性が説得できない、重要なナレッジが集められない、等々、結果は見えている。

 兼任者をアサインする際には、その関連部門のトッププレイヤー、もしくはそれに準ずる人間に対し、正式に兼任辞令を発令することが成功のポイントだ。トッププレイヤーを兼任業務できちんと稼働させることは容易ではないが、社でMBO(Management By Objective =目標管理制度)が導入されているような場合であれば、その担当者に「全体のワークのうち、何パーセントをKM業務に充てること」と規定ができるため比較的やりやすい。

 このように、専任・兼任のスタッフがきっちりとタッグを組んで推進できる体制を構築することも成功のための大きな要素であることを忘れてはいけない。

 今回は筆者が前回の連載で提唱した考え方を実践してわかった"成功のポイント"をコンパクトに2つほど述べさせて頂いた。しかし、行数の関係でまだまだお伝えしきれない重要なことがたくさんある。それに関しては、また、稿を改めさせて頂こうと考えているので、ご期待頂きたい。

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2/6/2の法則

マーケターなら誰でも知っているヴイルフレム・パレートによる2/8の法則。
しかし、人材やナレッジの世界では下の八割をさらに6と2に分けるのです。
スーパーな上位二割、玉石混淆の六割、もはや救えない下位二割。
それらを分けるものは何なのか。
そんなテーマで書いたコラムです。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/crm.cfm?i=20051214crm46e3 

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「社内対立回避はプロジェクト成功の要?」

 マーケティング部とシステム部は仲が悪い。"マーケティング部の女子社員とシステム部の男子社員の社内恋愛は成就する確率が極めて低い"というロミオとジュリエット的悲劇を引き起こすほどの極端なレベルかはともかく、程度の差こそあれ各社共通の事実ではないだろうか。筆者自身も以前勤務していた企業で経験し、苦労した覚えがある。

 しかし一方、今日ではマーケティング・オートメーションが注目され、CRMなりSFAなり、ソリューションにはシステム的観点だけではなく、マーケティング・ビューが欠かせなくなっているのだ。

 そこで今回は、どうしたらその両者の対立を防止し、プロジェクトを成功に導けるのかを考えてみたい。


 ■ ケース1:そもそもの同床異夢

 なぜ対立するのか。部署・立場は違っていても社内のこと、社の発展は社員としての共通の認識であり義務であり、目的達成のために苦労も共有できるはずなのに。しかし、そのプロジェクトそのもののゴールの認識がずれていたとしたら…。いわゆる同床異夢の状態でプロジェクトが走り出したとしたら、両者は判りあえるはずもない。

 ターゲットは誰で、どのようなマーケティング・ゴールが設定されているのかを、まず共有すること。「スコープ(目的)の明確化」はプロジェクトマネジメントの第一歩だ。それがあってこそ、どのような施策の展開が必要になり、その実現のためのシステム要求仕様はどうなるのかなどを落とし込むことが可能になるのである。

 また、いわゆる仕様書的なマーケティング・ゴールの記述だけでは、情報レベルを越えた、意識面まで含めた本当の意味での共有はできないかもしれない。その場合は、そのプロジェクトの目的なり、メンバー全員で為すべき使命などを共有しやすい言葉でまとめた"プロジェクト・ステートメント"を作ることもお勧めしたい。


 ■ ケース2:主人公は誰?

 当然のことだが、部門が違えば役割が違う。役割が違えば実行する業務も違う。等しく苦労を分かち合おうと思っていても、ある日はシステムが徹夜し、マーケティングが定時退社する。その逆もまたある。となると、本能的に担当者としては自分の背負い込む苦労を低減化しようという意識が働くものだ。

 また、システム部はシステムを導入し、トラブルなく動かすことが主たる業務であり、マーケティング部は導入のための企画をし、導入後の運用にもコミットする。そのため、システム部はなるべく導入しやすいように、マーケティング部の要求仕様を軽くしようと抵抗し、トラブルのないよう簡単な運用で済まそうとする。しかし、マーケティングの要求は導入においても、運用においても高いレベルで譲らない。そこに対立が生まれる。

 基本的にこのスタンスの違いの発生は食い止めることができないが、相手の立場をより理解することによる、"本能的な苦労の低減化行動"を和らげることはできる。

 ポイントは、プロジェクト発足、もしくは発足の準備段階から両者がスクラムを組んで検討を行うことだ。問題のおこるプロジェクトの多くは、システム部にマーケティング部から後追いで依頼が入り、「勝手に決めて持ってくるな」という抵抗がおこったり、各々が別々に検討を進め、全く整合しない状態に突入してしまったりしているのだ。

 部門を横断した"スクラム型プロジェクトチーム編成"を早期に立ち上げ、「プロジェクトの主人公は、部門を越えたメンバー全員である」という状態を作ることをお勧めしたい。


 ■ ケース3:仲裁できない企業トップと説明不足な担当者

 本来であれば、対立する2つの部門の仲裁は企業トップに委ねたいところである。強力なトップディシジョンによる裁定。それが両者が納得できる大岡裁きであれば言うことはない。

 しかし、現実にはそのように活躍できるトップは残念ながら僅かだ。なぜならば、ことシステムが絡むとトップは理解できなくなる。もしくは"専門外"として関与したがらなくなる。また、システムと連動したマーケティングのプロジェクトはほとんどの場合、"どのようなターゲットを、どのようなアプローチによってどう変化させゴールに導くか"という「プロセス型」であるのだが、結果や結論、ROIの予測のみを求め、プロセスを理解しようとしないからだ。

 一般にシステム投資は巨額である。そしてその巨額な投資に対する英断までが自分の仕事であり、後は「果報は寝て待て」になっているトップが少なくないのが、残念な現実なのだ。

 しかし、トップだけを責めるのは適切ではない。マーケティング、もしくはシステム担当者もトップに対する詳細な説明を怠っている場合が散見される。前述のプロセス、プロジェクトそのものの成功の見込みと失敗の際のリスク提示、そして何より、プロジェクトの発足とシステム導入の承認以降もトップが関与すべきであるという根本的な事実。それがなければやはり、マーケティング・オートメーションは"黙っていても自動的にうまくいくシステム"であるとの誤解が生じるだろう。そもそも、導入するのは"マーケティング・プロセスの遂行をアシストするシステム"であり、トップのディシジョンも含め、マーケティングとマネジメントが継続的に関与し続けなければ成功しないことを説明することが非常に重要なことなのだ。それがないまま、ある日突然、「うまくいきませんでした」といわれたら、トップも青天の霹靂、大きなショックを受けると共に、マネジメントとしての責任を問われる、悲劇の主人公になってしまうのだから。


 今回は、プロジェクトの進行において、よくある部門間対立の代表格である"マーケティング VS システム"を取り上げてみた。しかし、実際のプロジェクトの進行には、この2部門だけでなく様々な社内のステーク・ホルダーが関与する。そして、同様に対立の構造を持っている。プロジェクトの成否は、いかにターゲットの気持ちを読み解くかという"ターゲット・インサイト"にかかっているが、実はこのような"社内の他部門に対するインサイト"も極めて重要なのだ。

 プロジェクトは成功しなくては意味がない。参加賞はもらえない。とすれば、外にも内にも細心の注意を払って進めるべきだろう。今回のポイントを参考にして頂ければ幸いだ。

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「モノの本質的価値」

「モノの本質的価値」。この言葉を私はよく使います。
日々業務に邁進していると、「何のためにそれをやっているのか」がわからなくなったりします。
これがこと、マーケティングや営業担当者がそうなったら大変。
顧客になんと言って売ればよいのでしょう。
しかし、「モノの本質的価値」を忘れた広告や営業活動・トークが世に散見されます。
もう一度見直してみませんか?

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/crm2.cfm?i=20051214crm02e8


-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

「私たちは、何を売っているのか? -モノの本質的価値-」

 モノにはそれぞれ「本質的価値」というものがある。ブランド論で言えばブランドのコア・アイデンティティー、ブランドプロミスということになるのだろうが、今回は分かりやすく、具体的に考えたい。端的に言えば、何のための商品なのか、それを使うことによって、どのようなことが約束されるのかということだ。しかし、今日のモノの訴求はその本質的価値が忘れられ、商品の機能・性能に偏重し、結果としてそれが正しく伝わっていないことが多い。これは売る側、買う側双方にとって悲劇ではないだろうか。

 たとえば、ハイテク系商品においては画期的な技術を開発してもすぐに競合他社が追随するし、技術的差異はもはや意味がないほどに、どの商品も超高性能化してしまっている。そんな状況にもかかわらず、カタログはスペック、数値をメイン事項として訴求している。これでは差別化戦略といえない。個人的な事例だが、筆者自身デジカメの選択に悩み、既に半年以上が経過している。これはあくまでも一例だが、デジカメのようなハイテク商品だけではなく、本質的な価値が忘れられた訴求は様々なところで行われている。

本質的価値の理解は企業変革につながる

 「本質的価値」とは何なのか。生命保険の場合で考えてみよう。保険は、当然、保険証書に価値があるのではない。機能・性能であるところの、保険内容や保険額に価値があるのでもない。顧客は「万が一の時の安心感」にお金を払っている。それが本質的価値だ。

 しかし、売る側がそれを理解しておらず、営業担当のフォローが悪い、書類に間違いが多いなどで顧客に不安を感じさせるとしたら、離反してしまう可能性は極めて高くなる。つまり、本質的な価値を理解してモノを売るということは、一人一人の営業マンにとっても極めて重要な事であり、それを理解すれば、保険のディテールをまくし立てるようなセールストークを磨くことよりも、勤勉で誠意ある顧客対応がいかに重要であるかが分かるだろう。

 販売の現場で、担当者個々人がそれを認識していればいいのだろうか。別の商品として、マンションを例に考えてみよう。マンションのチラシには日当たりや間取り、はたまた床材の厚さまで、機能・性能が満載されている。しかし、顧客が実際にそこを購入・入居し、生活を始めると、そのような機能や性能を意識することはほとんどなくなる。代わりに周辺環境や管理の状況、長期修繕計画など、現在と将来の生活にかかわることが重要になってくる。つまり、機能・性能を訴求され「ハコ」としてマンションを購入したのだが、実はそこでの「生活そのもの」を買っていたことに気付く。これを企業の側から見ると、マンションメーカーが売っているのは「ハコ」ではなく、「顧客の生活そのもの」なのだという意識改革ができれば、チラシからモデルルームの作り方、営業や管理会社の対応までが変わり、大きな企業変革につながる。もちろん、前述の保険の例にあるように、販売現場の担当者個人だけでも本質的価値を理解していれば、売り方はかなり違ってくるだろう。しかし、このように企業全体のレベルで理解されれば、それはより大きな力となる。

CRMのゴールは「ワンフェース・ワンボイス」

 顧客とのリレーションシップにおいて大切なことに、「ワンフェース・ワンボイス」(ひとりの顧客に対して企業全体がひとつの顔、ひとつの声で接する)の実現が挙げられる。

 実はCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント=顧客管理)のゴールはそこにあり、マーケティングの技術論やIT(情報技術)は、CRMにおけるいわば機能・性能の側面にすぎない。そのためには自社の本質的価値という考え方が関係するすべての人に共有されているか、それが実現できる組織になっているか、というのが重要なポイントになるのだ。一度、自社、ご自身に当てはめて考えていただきたい。

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4P+2P

マーケティングの基本中の基本、4P。しかし、昨今それだけでは顧客の心はつかめません。
コラムの第一パラグラフにある「モーニングセットの悲劇」は、さらにもう一つの”P”である”プロセス”が整備されていないばかりに起きる珍奇な朝の喫茶店の光景をマーケティング的解釈で描いたもの。
同じような体験をされた方も多いのか、好評です。

http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/crm2.cfm?i=20051214crm29e8 


-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

「CRM実行のための"4P"+"2P"」


 モーニングセットの悲劇

 朝、目的地に早く着きすぎて喫茶店に入った。その店にはトーストのAセット、サンドイッチのBセットいうように、AからEまで5種類の朝食セットがあった。筆者は早速サンドイッチのセットを注文する。しかし、しばらくして出てきたのはホットサンドだった。詫びる店員に、「まあいいです」と言って食したが、店内を見ていると筆者を含め30分の間に3件の受注ミスが発生していた。結局はよくあるBとDとEの聞き違いなのだが、問題点は少し複合的だ。

 写真付きのメニューを見て「Bセット」を注文する客に対し、「Dセットですね」と店員が復唱する。客は写真を見たまま、「B」と復唱されたと疑わない。まず、第一になぜAからEまでの記号をメニューの名前にして客に注文させるのか。「サンドイッチセット」いう名前にし、そのまま言わせれば間違いもない。もしくは復唱する時に「Bのサンドイッチセットですね」と言うか、もしくは「こちらのBセットですね」とメニューの写真を指し示すかしなければ、復唱の意味がない。

 となると、問題は2つに集約される。第1に商品のネーミング。第2にミスの発生しない復唱の仕方をマニュアル化し、店員に教育していない点だ。さらにこの2つの問題は一つの根本原因にたどり着く。それは、正しい業務プロセスの設計がなされていないことである。商品は、注文を取るという顧客との接点における業務プロセスにおいて、ミスを誘発するようなネーミングであってはならない。また、本来ミスを防ぐためのプロセスである復唱が、形骸化したオウム返しになっているのでは、本来必要なミスを防ぐというプロセスが抜け落ちた状態になってしまっているのだ。

 4Pとあと2つのP=Process & Person

 実は、その店の朝食セットは非常に美味であった。また、価格は昨今のデフレを反映してか、非常に安かった。また店舗自体が表通りに面していて、さらに店頭に目をひく朝食セットのポスターがあり、思わず店に入ってしまうようになっている。つまり、良い商品を適切な価格で良好な場所で気の利いた販促まで実施して販売しているのだ。商売としてはきわめて優秀な状態だといえよう。マーケティングでいうところの、4P(Products Price Place Promotion)を全てカバーしていることになるからだ。

 この店のように4Pが最適化されていれば、新規顧客を獲得するとは可能だ。しかし、4Pが最適化されていても、もう一つの重要なP=Processが整備されていなければ、一旦は顧客となっても良好な経験(Experience)が得られずに離反する。事実、筆者はもうあの店に行こうとは思わない。間違ったメニューを持ってきた店員との、何とも気まずいやり取りを思い出してしまうからだ。顧客を長期的に囲い込み、顧客価値を高めていこうとするならば、従来の4Pにさらに1つ加えた5つ目のPが欠かせないのだ。

 CRMを展開するときには、どのような顧客に、いつ、どのようなアプローチを行うか。また、どのような顧客がコンタクトをしてきたら、どのような対応を行うかということをプログラム化するだろう。それがまさしく"プロセス設計"だ。

 では、最適なプロセスを設計したらそれを実行するのは誰であろうか。人=Personである。いくら最適なプロセスが作れても、それが実行できなければ、絵に描いた餅だ。5つ目のP、つまりプロセスは、6つ目のPである個々の担当者(Person)が顧客接点で確実に実行することで完結する。

 乱暴な言い方をすれば、マーケティングの基礎理論である4Pは、モノに重点を置き過ぎているといえよう。それは、商品を中心として、価格、販路、販促を最適化しようとする考え方だ。CRMは顧客側からの視点を重要視する。そして顧客接点でのコミュニケーションを最適化しようと考える。とすると、モノをどのような人が、どのような手順で売るのかという、あと2つのPが必然的に必要になってくるのである。特に昨今顧客はモノと共に与えられる経験(Experience)までを商品の価値と捉え、商品やブランド選択を行うようになってきた。とすれば、従来の4Pは6Pを基本として考えられるべき時代になっていると、認識を改める必要があるのだろう。

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